2050年にプラスチックが魚の量を超えます

海のマイクロプラスチック汚染-5つの問題

海洋マイクロプラスチック

プラスチックは、世界で最も広く使われている素材の1つです。

私たちの日常生活は、恐ろしいほどプラスチックに囲まれています。 家の中、職場、車の中、通勤電車やバスの中を見回してください。プラスチックで溢れかえっています。

ほとんどの食品や飲料品は、石油から作られたプラスチックの容器に入って販売されています。 あなたの使う歯ブラシやスマホのケース、ノートパソコン、メガネ、着ている服でさえプラスチックかも知れません。

食事中ですか?今使っている食器やフォークはプラスチックかも知れませんね。 お子さんがいますか?お子さんの使うオモチャの多くはプラスチックでしょう。

身の回りにあるプラスチックを数え上げたらきりがありません。 プラスチックは現在の私たちの生活に広く普及しており、ほとんどの製品分野で絶大な貢献をしています。

プラスチックは実用面で素晴らしい特徴があります。典型的な性質としては、軽量で、思い通りに型を変化させることができ、耐水性があり、頑丈で、コスパもすばらしいです。あるものは化学物質に対して耐久性があり、透明にもできます。

プラスチックは私たちの生活の中で様々な役割を果たして来ました。もはやプラスチックなしの生活は想像すら不可能でしょう。

一方で、プラスチックの利用は目に余る環境問題を生み出し、また目に見えない汚染を引き起こしています。世界的規模の問題として認識されており、G7でも積極的に取り上げられている課題の1つです。

プラスチックが自然環境に廃棄されてしまうと、極めて長い年月にわたって環境中に残存し、生態系に深刻な影響を与えることが危惧されています(UNEP 2005)。 私たちは、日常的に使うプラスチックの運命について、しっかりとした知識を得ておく必要があるのです。

プラスチックのなにが問題なのか

プラスチックの何が問題なのか手短に述べると以下のようになります。

  1. 世界のプラスチック生産量は爆発的に増えているが、廃棄物処理が追いついておらず、海に漏れ続けている(詳しくはこちら)。
  2. プラスチックは腐らず半永久的に環境中に残り、広い海洋の隅々に拡散している。
  3. 一部はマイクロプラスチックとなり、多くの海洋生物に食べられ食物網に取り込まれる。
  4. マイクロプラスチックが有害化学物質の運び屋となり、海洋生物と人の健康を脅かす可能性が潜在的にある。

本当は問題がもっと複雑で、マイクロプラスチックだけではなく大きなプラスチックも問題点が多いのですが、とりあえず上記のポイントを抑えておけば間違いではないでしょう。

石油系の合成ポリマーであるプラスチックは非常に丈夫で、腐敗しない(=生分解しない)物質です。いったん海に流出すると、分解されることなく幾世紀も海洋環境中に残存します。

特に近年最も問題視されているのがマイクロプラスチック(英:Microplastics)です。マイクロプラスチックは、大きさが5mm以下の微小なプラスチック粒子と定義されており、環境中のあらゆるところに普遍的に存在しています。

世界の海洋の表面を浮遊する微細なマイクロプラスチックの数は推計5兆個を超えており、太平洋・大西洋・インド洋、そして日本近海とあらゆる海から見つかっています(Eriksen et al. 2014)。

しかしながら、たくさん浮いているマイクロプラスチックを全部足しあわせても、それは氷山の一角に過ぎないことがだんだんと分かってきました。

大きなプラスチック製品は、紫外線や物理的な摩耗によってやがて劣化し、ぼろぼろになり、砕け、微細なマイクロプラスチックになります。数mm以下や目視できない顕微鏡サイズになっても、プラスチックであることに変わりはありません。

プラスチックは、その性質から油に溶けやすい有害物質を吸着させます。プラスチックのタッパーに脂っこい食品をいれると、洗剤で洗っても油を落とすのがなかなか大変ですが、それはプラスチックが油と親和性があるからです。

PCBや殺虫剤のDDTといった、国際条約で過去に禁止された有害な化学物質が海中にまだたくさん残っていますが、これらの人類の負の遺産は親油性があり、小さなマイクロプラスチックにスポンジのように吸着されてきます。

そして海洋生物は有害物質が付着して汚染されたプラスチック粒子を摂取し、化学物質は食物網に取り込まれ、生物濃縮されて、生物の体内へ蓄積していきます。

さらに、プラスチックには製造段階で加えられる添加剤をたっぷりと含んでいます。ときには有害な化学物質が使われます。これらの有害物質もまた、マイクロプラスチックの摂取によって生物の体内・内蔵に取り込まれていきます。

海鳥や魚類をはじめ、プラスチックを餌を間違えて食べてしまう海洋生物は増加しており、海洋生態系に深刻な害をもたらす可能性があると懸念されています。

マイクロプラスチックを食べてしまう海洋生物の中には、私たちが食べるシーフードが含まれており、人間の健康にもつながる問題として、いま世界中で研究が進められている段階です。

本記事では、海洋のプラスチック問題、特にマイクロプラスチックについて詳しく掘り下げてみましょう。

増大する海洋のプラごみ

プラスチックの大量生産・大量消費、そして不十分な廃棄物管理のおかげで、海に漏れ出るプラスチックごみは着実に増大しています。

海のプラスチックごみは、ほとんどが陸上で発生し、船などから廃棄される海上で発生するプラスチックごみは全体のだいたい2割、そして残りの8割が陸上に由来すると言われています。

世界のプラスチック生産量は、人口増加と経済成長にともない爆発的な成長を続けており、すでに年間ほぼ4億トンの勢いです(Geyer et al. 2017)。重量にして東京スカイツリーがほぼ1万個に相当します(東京スカイツリーの鉄骨重量を41,000トンとした場合)。

日本、米国、欧州などの先進国におけるプラスチックの生産量と消費量もすごい量ですが、中国、インド、インドネシアやフィリピン、タイなどの東南アジア諸国を含む発展途上国でもプラスチック消費量の増加が顕著です。

これら人口の増加が著しい発展途上国の多くでは、先進国に比べて廃棄物管理のインフラがきちんと整備されておらず、プラスチック使用量の増加にともない、海洋を含む環境中への流入も増大しています(Jambeck et al. 2015)。

容器包装リサイクル法という法律がある日本では、プラスチックごみが適切に分別回収されており、一見、大丈夫なように思えます。

しかし、日本の大きな河川の河口に目を向ければ、信じられないほど多くの散乱プラスチックごみを目にすることができます。

街中や公園でも、脇の草むらに目をやれば、散乱するプラスチックごみを目にするでしょう。

ごみ箱からあふれたプラスチックごみが、風に飛ばされ、河川を流れ、やがて海に流入します。

日本のようにプラスチック廃棄物の管理体制が整備されている国ですらそうですから、管理ができていない国々では、河川や海にあふれるプラスチックごみは目も当てられないほどの悲惨な状態です。

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世界中の海へと拡散するプラごみ

海に流入したプラスチックごみは、比重が海水より重たい場合には直ちに海底に沈み、比重が軽いものは海面を浮遊して世界の海を漂います。

世界の5つの大洋には、漂流物が集積する場所(ジャイアと呼ばれる)があり、浮流したプラスチックごみの集積場所となっています。

最大のジャイアは北太平洋のカリフォルニア州の沖合いにあります。ここでは集積するプラスチックごみの量が約7万9000トンあり、起源が推定できるごみの3割は日本から流れ着いたものです(Lebreton et al. 2018)。

東日本大震災で流出し、漂流したプラスチックごみが多く含まれるとされています(Lebreton et al. 2018)。

海を漂うプラスチックごみの中でも圧倒的に数が多いのが、マイクロプラスチックです。マイクロプラスチックは海洋に普遍的に広く分布しており、おそらくマイクロプラスチックが見つからない海はもうないでしょう。

それくらい、世界の海のありとあらゆるところから検出されており、海に表層だけではく深海の海底、北極と南極の海氷中からもマイクロプラスチック確認の報告が相次いでいます。

海の表面を漂うマイクロプラスチックは、一般的に、ニューストンネットやマンタネットという特別な網を使用して採取されます。

通常は海表面の動物プランクトンを採集するためのネットで、メッシュサイズ(目合い)は通常300-333µm(0.3-0.333 mm)。 これを海に投入して、船をゆっくり走らせながら、数十分間ネットを曳き、海面に浮かぶマイクロプラスチックを採集します。

採集されたマイクロプラスチックの密度は、1立方㍍(m3)あたりに何個という単位で表されます。

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ですから、海面を浮かぶマイクロプラスチックのサイズは、おおざっぱに0.3mm〜5mmの間に収まるということになります。

しかし、研究が進むにつれて、ニューストンネットやマンタネットの目合いをすり抜けるもっと小さなマイクロプラスチックが大量にあることが分かってきました(Barrows et al. 2017)。

海中からは、数µm〜数十µm程度の、髪の毛の太さより小さな目に見えないほど微小なマイクロプラスチックが見つかっています(Barrows et al. 2017, Brandon 2017 in preparation)。

マイクロプラスチックはさらに劣化して微細化すると、ナノプラスチックというnm(ナノメートル)という電子顕微鏡で認識できるような超微小サイズにまで小さくなることも室内実験でわかっています(Mattson et al. 2015)。

しかし、野外の現場環境でまだナノプラスチックは観測されていません。というのは、ナノプラスチックを現場の海水から分析・識別する確かな技術がまだないからです。

マイクロプラスチックの発生源

マイクロプラスチックの発生源は多種多様です。ですが、大別すると、製造された段階でもともと5mm以下という1次マイクロプラスチックと、大きなプラスチック製品が細かくなった2次マイクロプラスチックがあります。

レジンペレット

プラスチック製品の中間原料(製品になる前の材料)であるレジンペレット(樹脂ペレットやナードルともいう)は代表的な1次マイクロプラスチックです。

大きさが5mm程度のプラスチック粒で、これを溶かして型にいれると、いわゆる私たちが手にするプラスチック製品になります。

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浜辺で回収されたレジンペレット

このレジンペレットは、輸送過程や工場からすり抜けて、川などを流れて海に流れ込みます。レジンペレットを大量につんだコンテナ船からペレットが海上にこぼれ落ちることもあります。

ポリエチレンやポリプロピレンのような比重の軽いレジンペレットは海表面を漂い、一部は海岸に打ち上がり、いまでも数多くのレジンペレットが浜辺で見つかります。

魚卵に似ているため、海鳥が間違えて食べている考える海洋研究者もいます。

実は、このレジンペレットをマイクロプラスチックというカテゴリーに含めるために、マイクロプラスチックの大きさの定義が5mm以下と決められました。

ペットボトルを成形する際は、レジンペレットの様な大きな粒ではなく、パウダー状の原料を使いますので、これらが海洋に漏れ出ると、肉眼で認識することは極めて困難です。

また工業用の研磨剤・研削剤やサンドブラストにも微小なプラスチック粒子が使われ、これも1次マイクロプラスチックの発生源です。

生活用品に含まれるマイクロビーズ

私たちが日常的に手にする消費者製品にも1次マイクロプラスチックの発生源が複数あります。化粧品や歯磨き粉・洗顔料などのパーソナルケア製品にスクラブ剤として含まれるマイクロビーズ(英:microbeads)です。

歯磨き粉のチューブをしぼると青い粒がでてくるのを思い出す人もいるかもしれません。 すべての製品に含まれているわけではありませんが、いまでも国内の一部の洗顔剤には、汚れを落とすためのスクラブ粒としてポリエチレン粒子が使われています。

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化粧品、たとえばアイシャドーやマスカラに使われているキラキラのラメも立派なマイクロプラスチックです。

マイクロビーズ入りの洗顔料で、プラスチックのついた顔を洗い流し、マイクロビーズ入りの歯磨き粉で歯の汚れを落とすと、排水溝を流れ、下水を流れ、やがて下水処理施設にたどり着きます。

排水処理場でプラスチック粒子が取り除かれるのですが、マイクロプラスチックは粒子径が非常に小さいため、一部が下水処理を通り抜け、河川・海へと流出します(Horton et al. 2017)。

日本を含めた先進国では下水処理場におけるマイクロプラスチックの処理能力は最高で99%と言われますが、それは天候が晴れている時であり、大雨が降って下水処理場の能力が低下すると、多くのマイクロプラスチックが処理されずに抜け出ていくとされています。

しかし、世界各地の途上国の多くでは下水処理システムのインフラが整備されておらず、マイクロプラスチックは捕集されずに河川・海にダダ漏れの状態になっていることは容易に想像できます(Malik et al. 2015)。

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大きなプラ製品が粉々になった2次マイクロプラスチック

もっと深刻な発生源は、2次マイクロプラスチックです。

プラスチック製のボトルやおもちゃ、レジ袋といった私たちが日常生活で手にするサイズの比較的大きなプラスチックが摩耗等で小さな破片になったのが2次マイクロプラスチックです。

海岸や海表面などの環境中にでたプラスチック製品は、太陽光、特に紫外線(UVB)に曝されもろくなっていきます。

ベランダに長時間放置したプラスチック製のタンプラーや洗濯ばさみがボロボロになるのは紫外線に長時間当たったからです。

紫外線による劣化という光化学的プロセスに加えて、太陽光の熱に晒される熱酸化分解も起こります。

こうしてプラスチック製品は劣化し、さらに波などの機械的な力によって物理的に摩耗し、壊れて、段々と細かい断片になります。 元々大きかったプラスチック製品が粉々のマイクロプラスチックとなって世界中の海へ拡散していきます。

日常生活で発生する合成繊維(マイクロプラスチックファイバー)

家庭での日常生活でも2次マイクロプラスチックが発生します。合成繊維(化学繊維)です。

台所でナイロンタワシやメラニンスポンジで食器を洗うと、削れて、小さなマイクロプラスチックが大量に発生します。

汚れが激落ちするメラニンスポンジは使っていると消しゴムのように小さくなりますが、汚れを削り落とす際に目に見えないほど小さなマイクロプラスチックとなって、下水を流れ、マイクロビーズと同じ運命をたどります。

衣類の洗濯もマイクロプラスチックの発生原因です。フリースやポリエステルが混合された布地の衣服などを洗濯すると、繊維が脱落していきます。

洗濯機の糸くずフィルター(くず取りネット)にはたくさんの糸くずが溜まりますが、その糸くずが洗濯排水から下水道を流れ、やがて下水処理場にたどり着きます。

もちろん一部は処理されずに河川・海へと流入します。

興味深いことに、洗濯機の糸くずフィルターは私たち日本人には当たり前の存在ですが、実は欧米諸国では一般的ではありません。

米国は欧州の洗濯機にくず取りネットはついていないため、日本よりも欧米のほうがたくさんのマイクロプラスチックファイバーを発生していると報告する研究者もいます。

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マイクロプラスチックファイバー(合成繊維の糸くず)Source: Iñiguez et al. (2017) Sci Rep 7:8620 (CC BY 4.0)

海洋環境・生態系への影響

まずプラスチックごみがもたらす物理的な被害を見ていきましょう。

プラスチックの海洋生物への主な影響は2つあります。絡まりと誤飲(誤食)です。

海洋生物が釣り糸・漁網などの漁具に絡まり、身動きができなくなり、やがて衰弱死します。

またサンゴなどの脆弱な底生動物に絡まると体表が傷つき病気を誘発する原因ともなります。

海洋生物がプラスチック製品を誤って飲み込むと、喉に詰まらせて窒息や、消化管に詰まって物理的に閉塞または消化器官が損傷することが幅広い生物種、とくにウミガメや海鳥、クジラで知られています。

プラスチックの摂食によって、自分がお腹がいっぱいだと感じるため(偽りの満腹感)、本来の餌をとらず、やがて飢餓状態になる海洋生物の報告もあります。

軽いプラスチックが、生物種をある国から別の国へと運ぶ「筏」となっている問題もあります。たとえば、東日本大震災で漂流したプラスチックごみがハワイや北米で発見されていますが、そこに付着する生物種の中には北米では記録のない(日本から来た)種も含まれていました。そのため、プラスチックが増えると、好ましくない外来種・侵入種の拡散の機会を広げ生物多様性を脅かす危険性があります。

大きなプラスチックごみによる覆い被さりも問題になっています。レジ袋やビニール袋などのプラスチックごみが海底を覆ってしまうと、海底のガス交換プロセスが阻害されるため、簡単にいうと海底の泥の酸欠をもたらし、底生動物の死滅を招きます。

しかし、いま最も問題視され研究が進められているのがマイクロプラスチックによる脅威でしょう。

汚染物質の運び屋となるマイクロプラの脅威

マイクロプラスチックは小さいため、海洋の小さな生物種に誤飲されます。

動物プランクトンやイワシなどの小魚、貝類など様々な野生生物の体内からマイクロプラスチックが検出されています。

小さな生物がプラスチックを食べてしまうのがなぜ問題かというと、彼らは食物連鎖の底辺を支える生物群だからです。

プラスチックそのものは不活性であり、誤って食べてしまっても、消化管が閉塞されない限りは、すぐに排せつされるでしょう。

それより問題視されているのが、マイクロプラスチックが吸着する汚染物質と、マイクロプラチックにもともとふくまれる添加剤です。

プラスチックは疎水性のため、油に溶けやすい有害物質を表面に吸着させます。そのため、PCB、DDT、ダイオキシンのような残留性有機汚染物質(POPs、ポップス)を表面から吸収します。

マイクロプラスチックでは体積当たりの表面積が大きいため(体積当たりに)よりたくさんのPOPsを吸着します。

POPsは海底の泥中に多いのですが、マイクロプラスチックが海底の泥に堆積している間に有害物質をたっぷり吸着させ、何らかの理由で泥からでてきて浮上し、汚染物質を媒介する問題(ヨーヨー効果)も指摘されています。

POPsが問題なのは、それが生物に移行すると、肝臓や脂肪に高度に蓄積し、食物連鎖を通じて濃縮して、生殖異常などの様々な障害を引き起こすからです。

POPsの1つであるPCBは、食用油に混入した公害事件(カネミ油症)としてよく知られています。 POPsを吸着させたマイクロプラスチックが汚染物質を運搬する媒介者となり、食物網の底辺を支える小動物に摂食され、汚染物質が生態系内に広がっていく危険性が考えられています。

ただし、POPsはプラスチックだけではなく本来食べる餌にも混入しているため、生物の体内からPOPsが検出されてもプラスチックが原因かどうかはわかりません。

もう1つ懸念されているのが添加剤です。プラスチック製品の製造中に添加される化学物質のうち、有害性のあるものがプラスチックから海水へ侵出する可能性が指摘されています。

また、プラスチックが燃えにくくなるように添加される臭素系難燃剤などPOPsとして認定されています。

プラスチック添加剤には内分泌かく乱作用を起こす物質も含まれ、生態系の潜在的な脅威となっています。プラスチック製品が壊れて、粉々になりマイクロプラスチックになると、割れて露わになった表面から新たに添加剤が侵出します。

マイクロプラスチックは脆く、さらに微細化するため、添加剤を溶出し続ける可能性があります。

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このように、マイクロプラスチックは過去に出た汚染化学物質を吸着する一方で、今添加剤として使われている様々な化学物質を含んでおり、さながら化学物質のカクテルと呼ばれています。

そして汚染物質は小さな生物に誤食され、そのうち蓄積性のある化学物質は食物網を通じて、栄養段階が上がるごとに濃縮していきます。

栄養段階の頂点には私たち人間も含まれます。

蓄積性のない化学物質でも、慢性的に晒されれば生殖異常などさまざまな問題を引き起こしかねません。

環境中のマイクロプラスチック量は増大しているため、現状のペースで大量にプラスチックが生産・廃棄されていくと、海洋生物がマイクロプラスチック(に由来する化学物質)に慢性的に晒される日もそう遠くないかも知れません。

現時点では、マイクロプラスチックを介した化学物質の蓄積による長期的な影響がどの程度なのかまったくの未知数です。