2050年にプラスチックが魚の量を超えます

農業も海洋マイクロプラスチックの発生源

農業フィルム

農業はたくさんのプラスチックごみを排出する産業です.毎年,200万から300万トンのプラスチックが農業のために使われていると推定されています(Kyrikou and Briassoulis 2007).

ヨーロッパでは農業から排出されたプラスチックごみの量は,全体のプラスチックごみ(130万トン)の5.2%を占めています(2012年時点)(PlasticEurope 2015).

農業から生み出されるプラスチックごみは,全体のプラスチックごみに占める割合は低いものの,ある特定の地域にごみの排出が集中しており,特定の地域で特にマイクロプラスチック汚染を引き起こしています.

プラスチックだらけの農業

農業では,様々な種類のプラスチックが様々な用途に使われています.

たとえば,温室にはビニールシートやフィルムが使われています.根っこを覆うビニールのシートもよく見られます.これは温度や湿度のコントロールや,雑草の成長を遅らせるために使われます.

その他には,農作物の梱包や作物を入れる容器,家畜飼料を覆うビニールのフィルム,鳥や虫を防ぐためのネット,梱包用のひも,かんがい(水を引くこと)用の塩ビパイプ,化学肥料の袋,農薬の容器など,あらゆるものにプラスチックが使われています.

ビニール温室が最も多く使われている中国

中国ではプラスチックフィルムで覆われた面積が1980年代からうなぎ登りに増えており,プラスチック温室が占める面積は276万ヘクタールとなっています(2010年の時点)(Kacira 2011).北海道の3分の1の面積と同じくらいです.

また世界中に占める温室の面積の90%以上を占めています(Kacira 2011).

農業で使われるプラスチックは野外だけではありません.

野菜工場は西ヨーロッパや極東(中国,韓国,日本)で特に盛んですが,ここはプラスチックカルチャーと呼ばれるほど大量のプラスチックが使用されています(Briassoulis et al. 2013).

発芽をコントロールするために種子をポリマーでコーティングもします.そのようなコーティングに使われるポリマーは生分解性でないことがほとんどなので,発芽した後もポリマーは土に残ったままです.

マイクロプラスチック化する農業プラ

農業に使用される大量のプラスチックは長時間太陽光にさらされます.

日中は高温になります.

そのため光分解や熱酸化分解などの物理作用がプラスチックの劣化を早め,ぼろぼろになり微細化したマイクロプラスチックが土壌に混ざっていきます.

いったん土壌に混ざってしまったマイクロプラスチックを再び取り除くのは容易なことではないでしょう.

密度の高い(=重い)ポリマーは土壌中に残り続け,土壌の深部深くまで潜り込んでいきます.

一方で軽いポリマーは風に飛ばされ雨に流され,最終的に海に入りこんでいきます(Nizzetto et al. 2016).