プラスチックに殺されるサメ

漁師が操業する漁網に捕らえられ我々の食卓にあがる魚とは違い、漁師が「海に捨てた漁網」に絡まる魚は海ごみの被害者です。

漁師が(故意であれ不意の事故であれ)海に捨てた漁網は、海中を幽霊のように漂い、無差別に魚を絡め取って殺していきます。この殺戮をゴーストフィッシングと呼びます(UNPE 2009)。

ほとんどすべての漁具(漁網やロープ)はプラスチックでできており、とても丈夫なので、絡まった生物が脱出するのは極めて困難です(Kühn et al. 2015)。

捨てられた漁網や罠にかかった魚は、逃げられなければ死ぬだけです。

捨てられた漁具に絡まった魚を食べようとしたサメなどの大型の捕食者も、そのまま絡まってしまうことがあります(UNPE 2009)。

大量の魚や体重の重い魚が捨てられた漁具に絡まり、重くなって漁具が海底に沈むと、カニなどの底性動物がこれを食べて、キレイに掃除します。

そして再び漁具は軽くなり、海中を漂い始めます。プラスチック製の漁具は軽くて浮力があるのです。そして再びゴーストフィッシングという無差別殺戮が繰り返されていきます(UNPE 2009)。

漁網はプラスチックでできていため、自然に分解されることはなく、半永久的に海中に残り、この殺戮が繰り返されていきます。

プラスチックに殺されるサメ

サメー絡まり

無差別に殺される魚の中には、絶滅の危惧に瀕する魚も含まれます。たとえばサメです。

これまでに16種のサメが,捨てられた漁具に絡まっていることが報告されており,そのうち88%は絶滅危惧種または準絶滅危惧種でした(Colmenero et al. 2017).

南アフリカの、ある有名な海水浴場では、人間を守るための網におよそ2万8千匹のサメが1978年から2000年の間に引っかかり、そのうち53匹にはプラスチック製のバンドが体に食い込んでおり、明らかに体重が減っていたことがわかりました(Cliff et al. 2002)。

大西洋や地中海で捕獲されたヨシキリザメでは、梱包用のプラスチックのひもがエラの周囲に絡まっていることが確認されました(Colmenero et al. 2017)。

プラスチック製のひもに絡まると、十分に餌がとれなくなり、健全な成長が妨げられます(Sazima et al. 2002)。

プラごみはサメを減らしているのか

ゴーストネット

サメは,好奇心が高く、何か見つけると確認のために近づきます。そして海中を漂う遺棄された(プラスチック製の)漁具に絡まってしまうのです(Bird 1978, Colmenero et al. 2017)。

捨てられた漁具に絡まった魚や、中に隠れている魚を食べようとして、そのままサメが絡まってしまう場合もあります(Cliff et al. 2002Tschernij & Larsson 2003)。

サメは、食物網の頂点に君臨し、海洋生態系をコントロールするキーストーン種の1つです。絡まりの事故がサメの個体群を減らすほどに影響を与えているか、まだよくわかってはいません(Cliff et al. 2002)。

しかし、増え続ける漁具などの海洋ゴミに絡まることで、やがて数が減り、海洋生態系に予期せぬ結果を招くのではないかと危惧されています(Barría et al. 2015)。

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