食用貝に潜むマイクロプラスチック問題

海洋ごみ_マイクロプラスチック

貝の中のマイクロプラスチックについてショートドキュメンタリーが公開されています(英語,約6分).

日常の食卓でよくみる二枚貝について見ていきましょう.二枚貝は,お味噌汁やパエリヤ,ボンゴレビアンコなど,様々な料理に欠かせない食材です.一方で,さまざまな海洋の二枚貝からマイクロプラスチックが見つかっています.マイクロプラスチックとは,プラスチックごみが劣化して微細化し,大きさが5 mmよりも小さなものを言います.

二枚貝の多くは,ろ過食性です.ろ過食性とは,海水を吸い込み,海水に含まれるプランクトンをろ過して食べるタイプです.ところが,海水を吸い込んだときに,一緒にマイクロプラスチックも誤飲してしまうのです.

海洋プラスチックごみ

カナダの研究チームは,バンクーバー島にあるブリティッシュコロンビアの海岸に二枚貝を撒きました(Davidson & Dudas 2016).3ヶ月後,彼らは貝を採集し,薬品(硝酸)で肉を溶かして取り除き,残ったものを顕微鏡で観察しました.そこには色とりどりのプラスチックがあったのです.ほとんどが化学繊維に使われるファイバーで,全体の90%を占めていました(Davidson & Dudas 2016).

アメリカとインドネシアの魚市場で購入した貝を調査した研究では,なんと3匹のうち1匹の割合で,消化管からプラスチック(破片または繊維)が見つかったと報告しています(Rochman et al. 2015).

ムールガイ(ヨーロッパイガイMytilus edulis)をよく食べるベルギーでの調査によると,ベルギー人1人あたり,年間に平均122匹の貝を食べるとして,1つの貝に平均90個のマイクロプラスチックが見つかっているので,ざっと推定すると1人あたり年間に11,000個のマイクロプラスチックを食べていることになります(Van Cauwenberghe & Janssen 2014).

アサリやカキなどの貝を食べるとき,たいていは消化管も一緒に丸ごと食べます.つまりシンプルに言って,二枚貝やカキを食べると,あなたはプラスチックも食べることになります.

マイクロプラスチック

貝の健康に影響はないの?

マイクロプラスチックを誤食してしまった貝はどうなるのでしょうか?

フランスの研究チームは,マイクロプラスチックの摂食によって太平洋カキの生殖異常を報告しています(Sussarellu et al. 2016).研究チームは,カキにマイクロプラスチック(大きさが2マイクロと6マイクロメートルのポリスチレン粒子)を2ヶ月間与え続けたところ,卵子の数と大きさが減少し,精子の遊泳速度が落ちたと報告しています(Sussarellu et al. 2016).

さらにプラスチックを食べた親から産まれた幼生では子孫を残す力が大幅に減少していました(Sussarellu et al. 2016).実験では自然界ではありえないくらい多いプラスチックを与えて結果を見ることが多いのですが,この研究では自然界で見られるプラスチック濃度よりも少ない量のプラスチックを与えていました.それでも結果は悪いことばかりでした.

いまのところ,プラスチックを食べた貝をヒトが食べることで,それが健康によくないかどうかは分かっていません.仮に貝を食べるのをやめても,プラスチックがヒトに体に入ることを防ぐことは難しいでしょう.なぜなら,マイクロプラスチック(特にマイクロプラスチックファイバー)は,もうどこにでもあるのですから.

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