巣作りに使ったプラスチックごみに絡まる海鳥

海鳥とプラスチック

遺棄されたプラスチック製の漁具は増え続けています

海洋ごみは,海に生息する生物や人間に魔の手をすでに伸ばしはじめており,解決が急がれるグローバルな環境問題の1つです.

人間によって製造または加工された製品は,ごみとなり,故意であろうとなかろうと,その一部が海や淡水の環境に放出されています.

海洋ごみは,様々な素材からできていますが,最も多く占めているのがプラスチック製のごみです.特に,漁業や釣りで遺棄されたプラスチック製の漁具は,いたるところで見つかっており,その量は世界中で増え続けています(Ryan et al. 2009, Thompson et al. 2004, Howell et al. 2012).

海洋ごみ_マイクロプラスチック

全ての海鳥種の25%が海ごみに絡まっています

野生動物が海洋ごみからうける被害のうち,見た目に分かりやすいのは『絡まり』です(Laist 1997).プラスチックごみは,その耐久性と長寿命のために,いったん絡まると,海洋生物に大きな被害をもたらします.

プラスチックごみによる『絡まり』は,海鳥,魚,ウミガメ,クジラなどを含めて,すでに344種の動物から報告されています(Kühn et al. 2015).

海鳥の場合,全ての海鳥種のうち25%(406種のうち103種)が海洋ごみによる絡まりの被害を受けています(Kühn et al. 2015).

海洋プラスチックごみ_マイクロプラスチック

巣作りに使ったプラスチックに絡まる

カツオドリ科の海鳥や他の多くの海鳥は,海藻などの天然物質を使って巣作りをします.しかし,プラスチック製のロープや漁網,人為的なごみも巣作りの材料としてよく利用されています(Lavers et al. 2013, Votier et al. 2011, Verlis et al. 2014, Bond et al. 2012).

カツオドリやシロカツオドリなどのオス成体は,求婚の時期になると,海でごみ(特に捨てられた漁具)を集めてきて,目立たせるためなのか,自身の作る巣にごみを取り入れています(Bond et al. 2012).

そして子供を養うために作った巣にプラスチックごみを使ってしまったために,そのごみに絡まってしまいます.

海洋ゴミと海鳥

6割以上の巣からプラスチック

北西大西洋では,ほとんどすべてのカツオドリの巣から海洋ごみが見つかっており,そのほとんどが漁業に由来するプラスチックごみです(Montevecchi 1991).

オーストラリアのグレートバリアリーフで行われたカツオドリの巣の調査では,調べた98個の巣のうち約60%からプラスチックごみが見つかっています(Verlis et al. 2014).

巣作りをする場所の近くで刺し網漁業が行われている場合は,より頻繁に漁具が巣作りの材料に使われる傾向にあり,あるカツオドリの個体群では,調査した巣の75%近くに漁具が使用されていました(Bond et al. 2012).

巣作りにこれらの海洋ごみが使われた場合,大人とヒナ鳥がごみに絡まるリスクが増大します(Laist 1997, Kühn et al. 2015).そして自ら作った巣に絡まり,死んでいることが観察されています(Laist 1997, Parker & Blomme 2007, Votier et al. 2011).

海洋ごみ_マイクロプラスチック


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