海洋ごみの脅威

フルマカモメ

海鳥のヒナはプラスチックごみを知らずに誤食している

いまや野生動物と海洋の環境にとって,海のごみは,最大の脅威の1つとなっています.海洋動物は,主に2つの経路を通して,海ごみから被害を受けています.それは『誤食(誤飲)』と『絡まり』です.

海鳥では,プラスチックの誤飲によって,消化管は詰まり,胃潰瘍で胃に穴が空きます.また,胃にプラスチックが入っていると,お腹がいっぱいだと錯覚して食べなくなったりします.そして,機能障害や餓死へと至ります(Kühn et al. 2015).

Photo: Tim Zim/Flickr (CC BY-NC 2.0)

プラスチック製品が製造されるときに添加される有害な化学物質や,プラスチックが海を漂流している間に海水から吸着した汚染物質が,海鳥に影響を与えているとも言われています(Rochman 2015).

海鳥がプラスチックに絡まった場合は,動けなくなり,あるいはケガをして,食べ物を探しに行く能力が奪われます.海鳥の巣作りにプラスチックが使われた場合,ヒナ鳥がプラスチックに絡まってしまい巣立ちが出来なくなってしまいます.

「大人の」海鳥によるプラスチック片の誤飲は,世界中で広く知られています.アホウドリのヒナ鳥もプラスチックを誤飲していることが知られています.しかし,ミツユビカモメなど他の海鳥のヒナについてはよく分かっていませんでした.

今回,アイルランドの研究チームは,アイルランドに生息する3種類の海鳥(ミツユビカモメ,北フルマカモメ,カワウ)のヒナに食べ物を吐き出させて,プラスチックを誤飲していないか調べました(Acampora et al. 2017).

北フルマカモメ1羽の胃からでてきたプラスチック片 Photo credit: U.S. Fish and Wildlife headquarter Service/Flickr (CC BY 2.0)

海鳥がプラスチックを食べているかどうかを調べるときは,浜辺に打ち上がっている海鳥の死骸や,巣穴で死んでしまった海鳥を解剖して,胃の中身を調べるのが一般的です.ですが,それでは「健康な」海鳥がプラスチックを食べているかまではよく分からないのが現状です.

海鳥の個体群調査(人口統計調査のようなもの)をするときに,研究者は海鳥にタグ(識別番号)をつけたりします.タグをつけるには,海鳥を捕まえなければなりません.

海鳥を手で捕まえたときに,海鳥は胃の中にある食べ物を,ペッと吐き出すことがあります.それがストレスを感じてなのか,あるいは身を守るためなのかよく分かっていませんが,その吐き出した食べ物を調べることで,見た目には「健康な」海鳥がプラスチックを食べているかどうか知ることができます.

アイルランドの調査チームが調べた結果,全種類の海鳥のヒナからプラスチック片が見つかり,特に北フルマカモメのヒナがもっとも頻繁に誤飲していることが分かりました(Acampora et al. 2017).

まだ巣立ちをしていないヒナ鳥もまた,プラスチックの脅威に曝されていることがまた明白になりました.

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