ディナーはプラスチック?クジラの胃からビニールハウス

マッコウクジラ

70年代まで,海でみつかるプラスチックごみの脅威に気づく人はほとんどいませんでした.目も向けませんでした.

しかし今日,プラスチックごみは,地球上のいたるところで普遍的に見られます.プラスチックごみは数百年〜数千年にわたって消えることのない脅威として,国際的にはっきりと認識されるようになりました(UNEP Newscentre).

プラスチックごみの『誤食』は,海洋動物を苦しめる最も大きな要因の1つです.海のあらゆる所に散らばったプラスチックは,海洋動物に誤食(誤飲)され,消化管を詰まらせ,死にいたらせています.

プラスチックを飲み込むクジラ

クジラもその被害にあっています(Fossi et al. 2016).

現存するクジラ目80種類のうち,すでに59%に相当する47種類のクジラの消化管から,海洋ごみがみつかっています(Kühn et al. 2015).

たとえばシロナガスクジラを含む,ろ過食性のヒゲクジラは,プランクトンを飲み込む際にプラスチックも一緒に飲み込んでいます(Laist 1997, Baulch & Perry 2014).

プラスチックを誤食するマッコウクジラ

マッコウクジラやアカボウクジラのような歯クジラでもプラスチックの誤食が知られています(Laist 1997).

ノルウェーでは,アカボウクジラの胃から2mもある大型のプラスチック袋などが30枚近く見つかっており,消化システムを妨害していたと推察されています(REUTERS February 5 2017).

北カリフォルニアの浜辺に打ち上がった2匹のマッコウクジラの胃内容物を調べた調査では,胃の中からプラスチック製のロープ,漁網,漁で使うウキ,その他プラスチックのかけらなどが見つかりました(Jacobsen et al. 2010).

この2匹のマッコウクジラのうち,1匹目の消化管には24 kgのごみがぎっしりと詰まり,それが原因で消化管が破裂し死んだと推定されました.

一方,2匹目は,74 kgもあるごみで消化管が閉塞し,餓死したと推定されました(Jacobsen et al. 2010).

クジラ

他にも報告がります.ギリシャのミノコス島に打ち上がった若いマッコウクジラは,100枚以上のプラスチック袋(ポリ袋)を飲み込んで死んでいました(Katsanevakis 2008).台湾でもマッコウクジラの死骸の胃から大量のポリ袋や漁網が見つかっています(AFP BB NEWS October 2015).

スペインの研究チームが,グラナダの浜辺に打ち上がった4.5トンのマッコウクジラの胃中を調査したときには,およそ7.6 kgのプラスチックごみが胃の中にパンパンに詰まっており,胃が破裂したことが死因と診断されました(de Stephanis et al. 2013).

驚くことに,このマッコウクジラの胃中からは,農業に由来するプラスチックごみが大量に見つかっています.温室に使うビニールハウスのシート,根を覆うためのプラスチックのシート,やわらかいプラスチック製のフラワーポットなどです(de Stephanis et al. 2013).イカと間違えて食べているのでしょうか.

農業で使われていたプラスチック製のシートが,不適切に捨てられたために,海に入りこみ,マッコウクジラに誤食されているのです.

こちらもどうぞ

関連記事

  1. ゴーストネット_海洋ごみ_マイクロプラスチック

    悪魔のゴーストネット−プラスチックごみに絡まる海洋動物

  2. 赤ちゃんカメ

    プラスチックで苦しむ幼いウミガメたち

  3. フルマカモメ

    海鳥のヒナはプラスチックごみを知らずに誤食している

  4. 海洋プラスチックごみ

    海水中でプラスチックから溶出する化学物質が危ない

  5. オットセイ

    野生のオットセイの糞からマイクロファイバー

  6. サメー絡まり

    サメがプラスチックごみに絡まる−ゴーストネット問題

ブログ一覧