2050年にプラスチックが魚の量を超えます

イソギンチャクもプラスチック摂取 温暖化とプラスチック汚染の影響

イソギンチャク

カーネギー科学研究所の調査によると、イソギンチャクは海中のマイクロプラスチックをエサと一緒に摂取しており、白化したイソギンチャクは健康な個体よりも長くマイクロファイバーを体内に保持することがわかりました(Romano de Orte et al. 2019)。

サンゴ礁と関係の深いイソギンチャク

世界中の海を汚染する何百万トンものプラスチックによってサンゴ礁がどのような影響を受けるのか、様々な研究が行われています。

イソギンチャクは、サンゴと密接に関係しています。

イソギンチャクとプラスチックの関係を調べることで、サンゴが受ける影響を理解する手助けになります。

マイクロファイバーを使った摂取実験

海で最も一般的なプラスチックの1つにマイクロファイバーがあります。

これは合成繊維の服を洗濯したり、ロープやネットのような漁具が劣化したりして発生するもの。

マイクロファイバーは世界中の海のいたる所に見られ、人間が食べる魚介類からも検出され始めています。

プラスチック汚染に関するほとんどの研究は、実験室内でプラスチックの小さなビーズを使用して行われます。

しかし著者らはマイクロファイバーを使用。健康なイソギンチャクと共生藻(イソギンチャクと共生し栄養を届ける藻類)を失った白化状態のイソギンチャクにマイクロファイバーを与え、摂取するかどうか実験を試みました。

白化は、地球規模の気候変動によって海水温が上昇することで引き起こされます。もちろんサンゴも白化します。

イソギンチャクの80%がマイクロファイバーを摂取

イソギンチャクがマイクロファイバーを摂取している様子
光っている小さなものがマイクロファイバー。Manoela Romano de Orte, Sophie Clowns, Ken Caldeira (2019) Response of bleached and symbiotic sea anemones to plastic microfiber exposure ScientificDirect (CC BY 4.0)

研究チームは、それぞれのイソギンチャクに3種類のマイクロファイバー(ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン)を単独またはエサ(ブラインシュリンプ)と混ぜて与えました。

マイクロファイバーを単独で与えた場合、健康なイソギンチャクの約1/4がナイロンを摂取し、他の繊維は全く摂取されませんでした。

しかし、エサと混合した場合、健康なイソギンチャクの約80%が3つ全てのマイクロファイバーを食べたのです。

白化したイソギンチャクについては、60%がナイロン、20%がポリエステルを単独で摂取。エサと混合すると80%が全ての繊維を摂取しました。

マイクロファイバーは3日目には体内からなくなりましたが、白化したイソギンチャクはそれらを排出するまでにより長い時間を要しました。

ただ、これは実験室での話です。

自然の海洋環境では、イソギンチャクとサンゴは絶えず新しいマイクロファイバーに晒され、慢性的に汚染された状態になります。

地球温暖化とプラスチック汚染は相互に影響する

「サンゴ礁は、気候変動のほかプラスチック汚染という2つの打撃を受けている。水温が上昇した海でサンゴ礁が白化すると、有機体はマイクロファイバーを食べて体内に保持する可能性が高くなる」と著者は言います。

地球温暖化とプラスチック汚染は単独で影響を及ぼすのではなく、複合的に作用することをこの研究は示唆しています(Science Daily 2019 Apr)。