2050年にプラスチックが魚の量を超えます

北極圏の海鳥の卵からプラスチック添加剤の陽性反応

海鳥とひな

北極圏に生息する鳥の卵から、プラスチックの添加剤が検出されました。

カナダの北極圏、プリンスレオポルド島に生息するフルマカモメ。その卵を調べたところ、内分泌かく乱物質のフタル酸エステルに対して陽性反応を示したことがわかりました(Lu et al. 2019)。

この化学物質は、可塑剤(柔らかくするための添加剤)としてプラスチックに使用されているものです。

プラスチック添加剤はどうやって卵に入った?

北極圏の鳥の卵から、プラスチックの添加剤が検出されたのは今回が初めて。

フルマカモメは魚やイカ、エビを主食とします。おそらく、こうした獲物を探している最中に誤食したプラスチックから添加剤が浸出したと考えられています。

フルマカモメは胃の中に油のような液体を持っており、巣を脅かす敵に向かってそれを吐きつけます。

今回検出されたフタル酸エステルなどの化学物質は胃の中の液体と混ざり、体内の血流と卵に入っていったと見られています。

人間の生活から遠く離れた、手付かずの自然が残る北極圏の島。そこに生息するフルマカモメは、他の鳥よりもプラスチックを摂取する可能性ははるかに低いはず。

そういった環境にも関わらず、母鳥からその子供へと汚染物質が体内を通して受け渡されることが明らかになったのです。

添加剤1:フタル酸エステル

研究チームはプリンスレオポルド島で5つのフルマカモメの卵を収集。その卵黄とアルブミン(卵白を構成する成分)を分析したところ、その1つがフタル酸エステルの陽性反応を示しました。

フタル酸エステルはホルモンや内分泌システムを破壊し、先天性欠損症や生殖障害、多くの代謝障害を引き起こす可能性があります。そのため子供のプラスチック製のおもちゃでは使用が禁止されています。

ただ、添加剤によって実際に卵がどのような影響を受けるのか、まだはっきりとはわかっていません。

添加剤2:紫外線吸収剤

研究チームは、同じ営巣地から集めたフルマカモメとミツユビカモメの卵について、さらに調査を行いました。

これらの卵からも添加剤の反応があり、プラスチックが紫外線で劣化するのを防ぐ紫外線吸収剤(SDPAs, BZT-UVs)であることがわかりました。

著者らは、より多くのプラスチックを誤食している他の鳥の卵についても調査が必要と考えています。

そこに同じ種類の化学物質が含まれているのか、さらに高い濃度なのか、または別の物質なのか、現状を把握しておく必要があると言います。

プラごみの化学物質に汚染されている海鳥たち

フルマカモメの寿命は40年以上。

プラスチックの脅威に晒されているのは、現在から遡ってたった2~3世代のこと。

急速に海洋汚染が進んだことで、鳥たちは環境の変化に適応できないでいます。

今回の調査で、プラスチックが野生生物に及ぼす目に見えない影響が新たに確認されました。それで死に至ることはなくとも、決して肯定できるものではありません。

プラスチックごみには他にも様々な汚染物質が含まれています。

世界中の海鳥の多くが、増大するプラスチックの脅威に直面しているのです(The Guardian Feb 2019)。

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