2050年にプラスチックが魚の量を超えます

深海−人類未到の地にもすでにプラスチックごみの爪痕

深海の生物

プラスチックごみが見つからない、そんな海はまだあるのでしょうか。もうないかもしれません。

国立研究法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)の深海探査機が、初めて深海底の観察を行ったとき最初に目にしたものはごみだったといいます.。

深海にはすごい生態系があります。地中から湧き出すメタンや硫化水素から有機物を合成して成り立つ深海化学合成生態系です。

太陽の光を使って有機物を作り出す光合成とは無縁の世界で、ここが地球の生命が誕生した場所だと考える研究者も多い。 まだまだ人類が見つけてない深海の生態系サイトが数多くあると考えられており、新種もどんどん見つかる世界です。一方で、ごみもどんどん見つかっています。

深海の海底

Photo: Mark Yokoyama/Flickr (CC BY-NC-ND 2.0)

深海底で見つかるマイクロプラスチック

北大西洋,地中海,南西インド洋の深海底(深度1000〜3500 m)から採取された堆積物コア(堆積物の試料)の中には、青や赤色の化学繊維などのプラスチックがたくさん混じっていたことが発表されました(Woodall et al. 2014)。

調べられた12カ所の深海底では、すべての場所で小さなプラスチック片(マイクロプラスチック)が見つかりました。

これを見た研究者は、プラスチックごみが深海底のいたるところに普遍的に存在していることに気づきます。

こういった海底で見つかるプラスチックごみは,当然,もともとは海の表層にあったものです。

海の表層には25万トンを超えるプラスチックごみが浮かんでいると推定されています(Eriksen et al. 2014)。しかし,海底にはもっとたくさんのプラスチックごみが沈んでいると考えられています。

量はまだ不明

深海底にどのくらいプラスチックごみが沈んでいるのか,その全体像はまだ把握できていません。

しかし,インド洋で行われた調査では,たった50 mlの泥の中に,最大で40個のマイクロプラスチックが見つかっています(Woodall et al. 2014)。 50 mlと言えば,私たちが普段使っているコップの3分の1程度のわずかな量です。

この濃度は,海の表層でプラスチックごみが集積するジャイア(太平洋ごみベルト)で観察された濃度よりも1万倍は高いと考えられています(Woodall et al. 2014)。

深海底で見つかるプラスチックごみの平均的な量は,おおざっぱに計算すると浅い海の海底よりもおよそ2倍は高いと考えられています.つまりプラスチックごみは,より深い深海に溜まっているのです。

汚染物質を吸着するマイクロプラスチック

マイクロプラスチックは殺虫剤のDDTやPCBs(ポリ塩化ビフェニル)のような残留性有機汚染物質を吸着することで知られています。

汚染物質を吸着したマイクロプラスチックが海洋動物に食べられ,食物網に取り込まれると考えられています。それがどんな結果をもたらすのか,いまのところ推測の域は出ていません。

仮にいま,陸上から海に入るプラスチックごみがストップしても,深海に溜まるプラスチックごみは増える一方でしょう。なぜなら,海の表層にはもうすでにこれから深海に向かうマイクロプラスチックがひしめいているからです。