海のプラごみは、どんな種類のプラスチックが使われていますか?
私たちが海で目にするプラスチックごみの大部分は,わずか7タイプのプラスチックから作られています.その主なプラスチックは,高密度または低密度ポリエチレン(HDPE/LDPE),ポリプロピレン(PP),ポリスチレン(PS),発泡スチロール(ポリスチレンに空気を混ぜたもの),ポリ塩化ビニル(PVC),そしてポリエチレンテレフタレート(PET)です.これらは,熱を加えると柔らかくなる熱可塑性プラスチックです.補足として,海で見られるプラスチックごみのうち,熱を加えると固くなる性質(熱硬化性)をもつプラスチックには,浮き(うき)やエポキシ接着につかうポリウレタン,車のタイヤの骨格部分に使うポリエステルの繊維などがあります.
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そもそもマイクロプラスチックって何ですか?
マイクロプラスチックは,大きさが5mm以下の小さなプラスチック片のことです.大きなプラスチックが劣化して微細化したものや,ケア用品のスクラブ粒などの小さなマイクロビーズなどがマイクロプラスチックの主な発生源です.またマイクロプラスチックファイバーもあります.これは文字通りプラスチックの小さな繊維のことで,プラスチック製のロープなどが劣化によってほつれてバラバラになったもの,化学繊維の服を洗濯したときにでてくるものがあります.
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どうしてマイクロプラスチックは海で問題になっているんですか?
海に入ったマイクロプラスチックを取り除くことはもう不可能です.いったん海に入ると,マイクロプラスチックは海流や波にさらわれ,海のあらゆるところに分散し蓄積していきます.陸から最も遠い外洋の表層から世界で最も深い深海の底まで運ばれて蓄積していきます.一部は浜辺に打ち上がり蓄積します.マイクロプラスチックには,プラスチック製造のときに使われた危険な化学物質がすでに含まれています.もっと悪いことに,マイクロプラスチックは小さなスポンジのように海の中に残留する汚染物質を吸着します.そのため様々な有害な化学物質を含んでおり,化学物質のカクテルと言われます.この危険なカクテルは,様々な動物に食べられていることが研究でわかっています.そして食物網に取り込まれ,最後は人間に帰ってくると考えられています.
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海洋ごみの定義は何ですか?
米国海洋大気庁(NOAA)によれば,「ほぼ永続的に固い状態を保持する物質であり,人間によって製造または加工されたもので,それが直接的にせよ間接的にせよ,故意であろうとなかろうと,海に処分または放棄されたもの」と定義されています.
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ポイ捨てされたタバコの捨てガラも海洋プラスチックごみと聞きましたが本当ですか?
タバコのフィルターは,セルロースアセテートという有機合成ポリマーでできています.簡単に分解されない点ではプラスチックのようなものです.
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海洋ごみの1つとして知られるゴーストネットとは何ですか?
やむを得ない事情による紛失であれ,故意による投棄であれ,海に捨てられた漁網はゴーストネットと呼ばれます.誰も操作していないのに,幽霊のように海中を漂い,魚を含む海洋動物を絡め続けているため,ゴーストネットと呼ばれます.ほとんどの漁網はプラスチックでできています.
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海の中に入ったプラスチックごみはいずれ分解されてなくなるのでしょうか?
答えはノーです.ここでいう分解とは,水と二酸化炭素やメタンなどに無機化されることを言います.残念ながら,ほとんど全てのプラスチックは生物に分解されません(Andrady 1994).一部は劣化して微細化し,いずれ目には見えなくなってしまいますが,プラスチックであることに変わりはありません.
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生物資源から作るバイオプラスチックなら海の中で分解されますか?
バイオプラスチックは,トウモロコシや,藻類,タピオカなどを原料に作らます.再生可能な資源から作るバイオプラスチックは,化石燃料(石油)を消費せずに済むというメリットがあります.しかし,バイオプラスチックは,石油由来のプラスチックと同じく合成のポリマーであり,海の中で石油由来のプラスチックよりも速く分解されるということはありません.
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