プラスチックについて「考え直す」ときが来ています

海洋プラスチックごみ

83億トンのプラスチック

1950年よりも前にプラスチックの袋(レジ袋)なんて見かけることはありませんでした.しかし今,周りを見渡すと私たちはプラスチックに囲まれて暮らしています.

あなたが手にしているスマホのケースはプラスチックでしょう.パソコンで見ている人のキーボードもプラスチックです.あなたが着ている衣服も多くの場合ポリエステルやナイロンのようなプラスチックが使われているでしょう.プラスチックではないものを探す方が難しいくらいです.

プラスチックの年間の製造量は,1950年はたったの200万トンでした.それが2015年には4億トン近くにまで跳ね上がっています(Geyer et al. 2017).そして今日までに私たち人類が作り出してきたプラスチックの総量は83億トンにのぼります(Geyer et al. 2017).

83億トンという数字は多すぎでイメージがわきません.例えて言えば,東京スカイツリーが20万個,パリのエッフェル塔が82万2千個,NYの摩天楼ビルが2万5千個,シロナガスクジラ8千万頭,ゾウ10億頭の重量に相当します(Cohen 2017).

アルゼンチンと同じ面積!?

恐ろしいことに,この膨大な数のプラスチックのおよそ半分が,過去たったの13年間の間に作られました.

仮にこの83億トンのプラスチックを,全部ひろげて,地面に敷き詰めたらどのくらいの広さになるでしょうか?ちょうど足のかかとぐらいの高さになるぐらいに敷き詰めたら,アルゼンチンの面積と同じか,あるいは米テキサス州の4倍程に相当します(Geyer et al. 2017).

83億トンのプラスチックのうち,廃棄されたプラスチックごみは63億トンになります.そのうちリサイクルされたのはたったの9%Geyer et al. 2017)で,焼却処分されたのは12%,残りの79%は埋め立て地に行ったか,あるいは海などの自然環境に捨てられました.

毎年800万トン以上のプラスチックごみが海に漏れ出しています(Jambeck et al. 2015).常識的に考えてほとんど全てのプラスチックごみは海中で生物分解されません.数百年から数千年間は消えることのないごみとして海などの自然環境中に蓄積していきます.

海洋プラスチックごみ_マイクロプラスチック
海洋プラスチックごみ

プラスチックについて考え直す時

この勢いでプラスチックが作られていくと,2050年にはプラスチックの総量は340億トンになる見込みで,埋め立て地あるいは海などの自然環境に放りだされるプラスチックごみの量は130億トンになるとみられています(Geyer et al. 2017).

木やガラスなどの他の素材のごみと違って,ほとんどのプラスチックは,1回使うだけか,短い時間だけ使われて捨てられています.そう,包装や容器に使用される「使い捨てプラスチック」のことです.

プラスチックのリサイクル率が低い原因の1つに,プラスチックに添加されている化学物質(添加剤)があります.プラスチック製品を作る過程で,プラスチックの形を自在に変えるため,耐熱性を持たせるため,抗菌機能を持たせるためなど,さまざまな機能を付け加えるために大量の化学物質が加えられています.

添加剤には有害な物が非常に多く,これが邪魔をして,プラスチックのリサイクルを難しくしているのです.

3Rでも不十分

プラスチックについて「Re-think(考え直す)」ときが来ています.プラスチックの3R,Reduce(減らす),Re-use(再利用),Recycle(リサイクル)が大事と言われていますが,それでも不十分です.

プラスチックの5RRefuse(断る),Reduce(減らす),Re-use(再利用),Recycle(リサイクル), Redesign(商品のデザインから考え直す)にしないとまずいことになっています.

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